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老後資金の準備|iDeCo・小規模企業共済・国民年金基金の組み合わせ方

老後資金の準備|iDeCo・小規模企業共済・国民年金基金の組み合わせ方 お金とライフイベント
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「フリーランスは退職金がないから、老後が不安……」「iDeCoと小規模企業共済、どっちを優先すべき?」「国民年金だけだと月6.5万円しかもらえないって本当?」――会社員と違い、厚生年金も退職金制度もないフリーランスにとって、老後資金の準備は自分で設計するしかありません。

結論から言うと、フリーランスが使える老後資金の3本柱は「iDeCo」「小規模企業共済」「国民年金基金」です。この3つを所得や事業規模に合わせて組み合わせることで、節税しながら老後に毎月20万円以上の収入源を作ることも可能です。

この記事では、それぞれの制度の仕組み・掛金・節税効果をわかりやすく比較し、所得別の最適な組み合わせパターンまで具体的にシミュレーションしていきます。

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フリーランスの年金事情|会社員との差はどれくらい?

1. 国民年金だけだと月6.5万円

フリーランス(第1号被保険者)が加入するのは国民年金のみです。40年間満額納付した場合の受給額は、月額約7.1万円(2026年度:70,608円)。年間にすると約84.7万円です。

一方、会社員は国民年金に加えて厚生年金にも加入しているため、平均的な受給額は以下のとおりです。

区分月額の目安年額の目安
フリーランス(国民年金のみ)約7.1万円約84.7万円
会社員(国民年金+厚生年金)約14.5万円約174万円
差額約7.4万円約89万円

月7.4万円、年間89万円の差です。65歳から85歳までの20年間で計算すると、総額で約1,780万円の差になります。さらに会社員には退職金がある場合が多く、実際の格差はもっと大きくなります。

この差を埋めるために、フリーランスには専用の上乗せ制度が用意されています。それが「iDeCo」「小規模企業共済」「国民年金基金」の3つです。

2. フリーランスが使える3つの制度の全体像

制度性質掛金の上限(月額)節税メリット受取方法
iDeCo自分で運用する年金68,000円掛金が全額所得控除一時金 or 年金
小規模企業共済フリーランスの退職金70,000円掛金が全額所得控除一時金 or 年金
国民年金基金国民年金の上乗せ年金68,000円(iDeCoと合算)掛金が全額所得控除年金のみ

重要なポイント:iDeCoと国民年金基金は掛金の上限が合算で月68,000円です。つまり、iDeCoに月68,000円拠出している場合、国民年金基金には加入できません。小規模企業共済は別枠なので、iDeCoやNISAと併用可能です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)|運用で増やせる年金

1. iDeCoの仕組み

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で運用先(投資信託・定期預金など)を選ぶ年金制度です。運用成績によって受取額が変わるのが特徴です。

主なメリット:

  • 掛金が全額所得控除:月68,000円×12ヶ月=年間816,000円が所得から控除される
  • 運用益が非課税:通常は約20%課税される運用益が、iDeCo内では非課税
  • 受取時も税制優遇:一時金なら「退職所得控除」、年金なら「公的年金等控除」が適用される

2. 節税効果のシミュレーション

フリーランスがiDeCoに月68,000円(年間816,000円)拠出した場合の節税額を、課税所得別に見てみましょう。

課税所得所得税率住民税率年間の節税額
300万円10%10%約163,200円
500万円20%10%約244,800円
700万円23%10%約269,280円
1,000万円33%10%約350,880円

課税所得500万円の場合、年間約24.5万円の節税になります。30年間続ければ節税額だけで約735万円。運用益と合わせると、老後資金として非常に大きな金額になります。

3. iDeCoのデメリット・注意点

  • 60歳まで原則引き出せない:急な資金ニーズには対応できない。事業資金としても使えない
  • 運用リスクがある:投資信託を選んだ場合、元本割れの可能性がある
  • 手数料がかかる:口座管理手数料が年間2,000〜7,000円程度(金融機関による)
  • 受取時に課税される可能性:退職所得控除・公的年金等控除の範囲を超えると課税対象になる

最大のデメリットは「60歳まで引き出せない」ことです。フリーランスは収入が不安定になりがちなので、生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分)を確保した上で、無理のない掛金から始めるのが安全です。掛金は月5,000円から設定でき、年1回変更できます。

小規模企業共済|フリーランスの「退職金」を作る

1. 小規模企業共済の仕組み

小規模企業共済は、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度です。毎月掛金を積み立て、廃業や退職時にまとめて受け取ります。

主なメリット:

  • 掛金が全額所得控除:月70,000円×12ヶ月=年間840,000円が所得から控除される
  • 受取時の税制優遇:廃業時の一括受取は「退職所得控除」が適用される
  • 貸付制度がある:掛金の範囲内で事業資金を低金利(年0.9〜1.5%)で借りられる
  • 元本割れリスクが低い:運用は中小機構が行い、長期加入なら掛金以上の額が戻る

2. 受取額のシミュレーション

月額掛金ごとの受取額の目安を見てみましょう(廃業事由・一括受取の場合)。

月額掛金年間掛金20年後の受取額30年後の受取額
10,000円120,000円約266万円約421万円
30,000円360,000円約797万円約1,264万円
50,000円600,000円約1,329万円約2,106万円
70,000円840,000円約1,860万円約2,949万円

月70,000円を30年間積み立てると、約2,949万円の退職金が手に入ります。掛金の総額は2,520万円なので、約429万円のプラスです。さらに毎年の節税効果を加えると、実質的なリターンはかなり大きくなります。

3. iDeCoとの違い|どっちを優先すべき?

比較項目iDeCo小規模企業共済
運用の自由度自分で投資先を選ぶ中小機構が一括運用
元本割れリスクあり(投資信託の場合)低い(20年以上で元本超え)
途中引き出し60歳まで不可任意解約で引き出し可能(元本割れのリスクあり)
貸付制度なしあり(掛金の7〜9割を低金利で借入可能)
掛金の上限月68,000円月70,000円
受取時の控除退職所得控除 or 公的年金等控除退職所得控除 or 公的年金等控除

判断基準はシンプルです。

  • 「資金の流動性を重視する」→ 小規模企業共済を優先。貸付制度があるので、急な資金ニーズにも対応できる
  • 「運用で積極的に増やしたい」→ iDeCoを優先。インデックス投資信託で長期運用すれば、小規模企業共済より高いリターンが期待できる
  • 余裕があれば両方加入。掛金の上限は別枠なので、iDeCoに月68,000円+小規模企業共済に月70,000円=年間合計165.6万円を所得控除にできる

国民年金基金|確定年金で老後の収入を底上げする

1. 国民年金基金の仕組み

国民年金基金は、国民年金の上乗せ年金として、フリーランス(第1号被保険者)が任意で加入できる制度です。将来受け取れる年金額が加入時に確定するのが最大の特徴です。

主なメリット:

  • 掛金が全額所得控除:iDeCoと合算で月68,000円まで
  • 受取額が確定している:加入時の年齢と掛金で受取額が決まるため、老後の収入を計画しやすい
  • 終身年金を選べる:生きている限り受け取れるタイプ(A型・B型)がある

2. 国民年金基金の型と受取額

国民年金基金は「口数制」で、1口目は必ず終身年金(A型またはB型)を選びます。2口目以降は確定年金(Ⅰ〜Ⅴ型)も選択できます。

受取期間遺族一時金特徴
A型(終身)65歳〜生涯あり保証期間付き終身年金。万が一早く亡くなっても遺族に一時金が出る
B型(終身)65歳〜生涯なしA型より掛金が安い。長生きリスクへの備えに特化
Ⅰ型(確定)65歳〜80歳あり15年間の確定年金
Ⅱ型(確定)65歳〜75歳あり10年間の確定年金
Ⅲ型(確定)60歳〜75歳あり60歳から受取開始(早期リタイア向け)

たとえば35歳男性がA型(終身)1口に加入した場合、月額掛金は約11,000円、65歳からの年金額は年間約24万円(月約2万円)です。掛金や年金額は加入時の年齢によって変わり、若いほど同じ掛金で多くの年金を受け取れます。

3. iDeCoとの使い分け

iDeCoと国民年金基金は掛金の上限が合算で月68,000円なので、「どちらにいくら振り分けるか」がポイントになります。

比較項目iDeCo国民年金基金
受取額運用成績次第(不確定)加入時に確定
元本割れリスクありなし(確定給付)
インフレ対応株式投資信託なら対応可能受取額が固定のため対応できない
受取方法一時金 or 年金年金のみ
途中脱退掛金の停止は可能(残高は60歳まで保持)自己都合での脱退は不可(掛金の減額は可能)

使い分けの考え方

  • 「投資に抵抗がある」「確実に決まった額を受け取りたい」→ 国民年金基金の割合を多めに
  • 「長期投資でリターンを狙いたい」「インフレに備えたい」→ iDeCoの割合を多めに
  • 迷ったらiDeCoをメインにして、余裕があれば国民年金基金を追加するのがバランスの良い選択です

国民年金基金は途中で自己都合の脱退ができない点に注意してください。収入が不安定なフリーランスにとって、脱退できないことはリスクです。まずはiDeCoで掛金を調整しながら運用し、事業が安定してきたら国民年金基金を上乗せする、という順番が無難です。

付加年金|月400円で年金を増やす裏ワザ

3つの制度に加えて、もうひとつ知っておきたいのが「付加年金」です。

付加年金は、国民年金の保険料に月額400円を上乗せして支払うだけで、将来の年金額が増える制度です。増額分は「200円×納付月数」で計算されます。

納付期間追加で払う総額年間の増額分元が取れるまで
20年(240ヶ月)96,000円48,000円/年2年
30年(360ヶ月)144,000円72,000円/年2年

たった2年で元が取れるという、驚異的なコストパフォーマンスです。30年間納付した場合、毎年72,000円が一生涯上乗せされます。65歳から85歳までの20年間で受け取る総額は144万円。追加の支払いはたった14.4万円です。

ただし、国民年金基金に加入している場合は付加年金に加入できません(制度が重複するため)。iDeCoとの併用は可能です。国民年金基金に加入しない場合は、付加年金に入っておくことを強くおすすめします。

所得別|3つの制度の最適な組み合わせ

「結局、自分はどれにいくら入れればいいの?」という疑問に、所得別のモデルケースで答えます。

1. 課税所得300万円|まずは無理のない範囲で

制度月額掛金年間掛金年間節税額
iDeCo23,000円276,000円約55,200円
小規模企業共済10,000円120,000円約24,000円
付加年金400円4,800円—(社会保険料控除に含まれる)
合計33,400円400,800円約79,200円

考え方:まだ事業が安定していない段階では、月3万円台に抑えるのが現実的です。iDeCoを中心にしつつ、小規模企業共済は最低額の月1万円で貸付制度の権利を確保します。付加年金は必ず加入してください。

2. 課税所得500万円|本格的に老後資金を積み上げる

制度月額掛金年間掛金年間節税額
iDeCo68,000円816,000円約244,800円
小規模企業共済30,000円360,000円約108,000円
付加年金400円4,800円
合計98,400円1,180,800円約352,800円

考え方:iDeCoを上限まで拠出し、小規模企業共済で退職金を並行して積み立てます。年間約35万円の節税は大きいです。月10万円弱の拠出に無理がなければ、この組み合わせが最もバランスが良いです。

3. 課税所得700万円以上|節税効果を最大化する

制度月額掛金年間掛金年間節税額
iDeCo68,000円816,000円約269,280円
小規模企業共済70,000円840,000円約277,200円
付加年金400円4,800円
合計138,400円1,660,800円約546,480円

考え方:iDeCo・小規模企業共済をともに上限額まで拠出します。年間約54.6万円の節税になり、30年間で節税額だけで約1,639万円。これに運用益・共済金の上乗せが加わります。所得が高いほど所得税率も高くなるため、節税メリットが加速します。

受取時の税金|出口戦略を忘れない

「入口」の節税に目が行きがちですが、「出口」(受取時)の税金も重要です。受取方法によって税額が大きく変わります。

1. 一時金で受け取る場合|退職所得控除

iDeCoや小規模企業共済を一括で受け取ると、退職所得として課税されます。退職所得控除額は加入年数(勤続年数)によって決まります。

加入年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 年数(80万円未満は80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(年数 − 20年)

たとえば30年加入の場合、退職所得控除は800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円です。受取額が1,500万円以下なら税金はゼロになります。

注意点:iDeCoと小規模企業共済を同じ年に一時金で受け取ると、退職所得控除が合算されて控除額を超えやすくなります。受取時期を5年以上ずらすと、それぞれ別の退職所得として控除を受けられるため、税負担を抑えられます。

2. 年金で受け取る場合|公的年金等控除

年金として分割で受け取る場合、雑所得として課税されますが、公的年金等控除が適用されます。65歳以上の場合、公的年金等の収入が年間110万円以下なら所得はゼロです。

国民年金(約84.7万円)+国民年金基金やiDeCoの年金を合算して110万円以下に収まるかどうかが、ひとつの目安になります。

3. 受取方法の選び方

  • 受取額が退職所得控除の範囲内 → 一時金で受け取れば税金ゼロ
  • 退職所得控除を超える場合 → 一部を一時金、残りを年金で受け取る「併用」が有利になることが多い
  • iDeCoと小規模企業共済の両方がある場合 → 受取時期を5年以上ずらすことで、退職所得控除を2回使える

受取時の税金計算は複雑なので、退職が近づいてきたら税理士に相談することをおすすめします。「入口の節税」だけで満足せず、「出口の税金」まで考えてこそ、3つの制度をフル活用できるということを覚えておいてください。

まとめ:月1万円からでも始められる。大事なのは「今日始めること」

フリーランスの老後資金の作り方を振り返ります。

  • フリーランスの国民年金は月約7.1万円。会社員との年金格差は20年間で約1,780万円
  • iDeCo(月最大68,000円):自分で運用。長期のインデックス投資で資産を増やせる。60歳まで引き出し不可
  • 小規模企業共済(月最大70,000円):フリーランスの退職金。元本割れリスクが低く、貸付制度もある
  • 国民年金基金(iDeCoと合算で月最大68,000円):受取額が確定する上乗せ年金。途中脱退不可に注意
  • 付加年金(月400円):2年で元が取れる最強のコスパ。国民年金基金に入らないなら必ず加入する
  • iDeCo+小規模企業共済の両方上限で年間約165万円の所得控除。課税所得700万円なら年間約55万円の節税
  • 受取時は退職所得控除を活用。iDeCoと小規模企業共済は受取時期を5年ずらすのが有利

「老後のために毎月何万円も出せない……」という方は、まず小規模企業共済の月1万円とiDeCoの月5,000円、合計15,000円から始めてみてください。事業が軌道に乗ってきたら、徐々に掛金を増やしていけば大丈夫です。老後資金の準備で最も大切なのは、金額の大小よりも「早く始めること」。複利の効果は時間が味方してくれます。

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