「これって経費にしていいの?」——フリーランスなら誰でも一度は悩んだことがあるはずです。
結論から言うと、「事業に関連する支出」であれば、基本的に経費にできます。ただし、「事業に関連する」の線引きが曖昧だからこそ迷うわけです。
この記事では、個人事業主・フリーランスが経費にできるもの・できないものをカテゴリ別に一覧表で整理しました。勘定科目の選び方、家事按分の考え方、税務調査で否認されないための記録の残し方まで、実務で使える内容にまとめています。
経費の基本ルール:「事業に必要かどうか」が判断基準
経費にできるかどうかの判断基準は、「その支出が事業の売上を生み出すために必要か」の一点です。国税庁は「必要経費」として以下を認めています。
- 売上原価:仕入れにかかった費用
- 販売費・管理費:事業を営むために直接必要な費用
「事業に必要」と合理的に説明できればOK、説明できなければNG——シンプルですが、実際には判断に迷う項目が多くあります。以下のカテゴリ別一覧で確認していきましょう。
【通信・IT関連】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| スマホ代(事業用) | ○ | 通信費 | 私用兼用なら家事按分(事業利用割合) |
| 光回線・Wi-Fi | ○ | 通信費 | 自宅兼事務所なら家事按分(40〜60%が目安) |
| ドメイン代・サーバー代 | ○ | 通信費 | 全額経費OK |
| ChatGPT・Gemini等のAIサブスク | ○ | 通信費 or 支払手数料 | 事業利用分は全額OK |
| Adobe CC・Figma等のデザインツール | ○ | 通信費 or 支払手数料 | 月額サブスクは全額OK |
| クラウドストレージ(Google One等) | ○ | 通信費 | 事業データ保管なら全額OK |
| Netflix・Spotify(私的利用) | × | — | 事業と無関係なエンタメは不可 |
【オフィス・作業環境】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 自宅家賃(事業利用分) | ○ | 地代家賃 | 家事按分が必要(面積比 or 時間比) |
| 電気代 | ○ | 水道光熱費 | 家事按分(事業利用割合30〜50%が目安) |
| 水道代 | △ | 水道光熱費 | 在宅ワーカーは認められにくい。飲食業等は○ |
| コワーキングスペース利用料 | ○ | 地代家賃 | 全額OK |
| デスク・オフィスチェア | ○ | 消耗品費 or 工具器具備品 | 10万円未満は消耗品費。10万円以上は減価償却 |
| PC(事業用) | ○ | 消耗品費 or 工具器具備品 | 10万円未満は一括経費。40万円未満は少額減価償却で一括経費OK(2026年4月以降取得分・青色申告のみ・年間合計300万円まで)。※2026年3月以前の取得分は30万円未満が対象 |
| モニター・キーボード・マウス | ○ | 消耗品費 | 10万円未満なら一括経費 |
| 文房具・コピー用紙 | ○ | 消耗品費 | 全額OK |
デスク・チェアの経費計上と減価償却の詳細は、デスク・チェアは経費になる?10万円の壁と減価償却ルールで詳しく解説しています。
【交通・移動】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 電車・バス(打ち合わせ移動) | ○ | 旅費交通費 | ICカード履歴 or メモで記録を残す |
| タクシー代(業務目的) | ○ | 旅費交通費 | 領収書+行先・目的のメモ必須 |
| ガソリン代(事業用車) | ○ | 車両費 or 旅費交通費 | 私用兼用なら家事按分 |
| 駐車場代(月極) | ○ | 地代家賃 | 事業用なら全額。兼用なら按分 |
| 高速道路・有料道路 | ○ | 旅費交通費 | ETC明細で記録 |
| 通勤定期代 | × | — | 個人事業主に「通勤」の概念はない |
【飲食・交際】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 取引先との食事 | ○ | 接待交際費 | 相手先名・人数・目的をメモ |
| お中元・お歳暮(取引先向け) | ○ | 接待交際費 | 送り先の記録を残す |
| 打ち合わせのカフェ代 | ○ | 会議費 | 1人での作業カフェも「会議費」で計上可。ただし常識的な金額・頻度の範囲で。高額・高頻度だと税務調査で否認されるリスクあり |
| 一人ランチ | × | — | 自分だけの食事は生活費 |
| 友人との飲み会 | × | — | 事業と無関係なら不可 |
| 冠婚葬祭の祝儀・香典 | ○ | 接待交際費 | 取引先・仕事関係者のみ。招待状等で証明 |
【保険・税金・社会保険料】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 個人事業税 | ○ | 租税公課 | 全額OK |
| 印紙代 | ○ | 租税公課 | 全額OK |
| 所得税・住民税 | × | — | 個人の税金は経費にならない |
| 国民健康保険料 | × | — | 経費にはならないが「社会保険料控除」で所得控除可 |
| 国民年金 | × | — | 同上。社会保険料控除の対象 |
| 損害保険料(事務所・備品) | ○ | 損害保険料 | 事業用資産の保険は全額OK |
| 賠償責任保険(フリーランス向け) | ○ | 損害保険料 | 全額OK |
| 生命保険料 | × | — | 経費にはならないが「生命保険料控除」で所得控除可 |
| 人間ドック | △ | 福利厚生費 | 個人事業主は原則不可。従業員分なら○ |
【専門サービス・外注】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 税理士・会計士への報酬 | ○ | 支払手数料 or 外注費 | 全額OK |
| 弁護士・司法書士への報酬 | ○ | 支払手数料 | 事業関連のみ。私的な相談は不可 |
| 外注費(デザイン・開発等) | ○ | 外注費 | 請求書・契約書を保管 |
| 会計ソフト利用料 | ○ | 通信費 or 支払手数料 | freee・マネーフォワード等のサブスク代 |
| クラウドソーシング手数料 | ○ | 支払手数料 | ランサーズ・クラウドワークス等の手数料 |
| 名刺・印刷物 | ○ | 広告宣伝費 | 全額OK |
【研修・自己投資】経費OK・NG一覧
| 支出項目 | 経費 | 勘定科目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 業務関連の書籍 | ○ | 新聞図書費 | 事業に関連するものに限る |
| オンライン講座・セミナー参加費 | ○ | 研修費 | 事業スキル向上目的なら全額OK |
| 資格取得費用 | △ | 研修費 | 事業に直結する資格は○。汎用的な資格(簿記等)はグレーゾーン |
| 業界団体の年会費 | ○ | 諸会費 | 全額OK |
| スポーツジム会費 | × | — | 健康維持は個人的支出(インストラクター等は例外) |
| スーツ・ビジネスウェア | × | — | プライベートでも着用可能なため原則不可 |
家事按分の計算方法
自宅で仕事をしているフリーランスは、家賃・光熱費・通信費などを「家事按分」して事業利用分だけ経費にできます。
按分率の目安
| 費目 | 按分方法 | よく使われる按分率 |
|---|---|---|
| 家賃 | 事業用スペースの面積比 | 20〜40% |
| 電気代 | 使用時間比 or 面積比 | 30〜50% |
| スマホ代 | 通話・通信の事業利用割合 | 50〜70% |
| ネット回線 | 使用時間比 | 40〜60% |
| 車関連費 | 走行距離比 or 使用日数比 | 30〜70% |
家事按分の具体的な計算方法と税務調査対策は、家事按分の計算方法|家賃・光熱費・通信費の按分率と税務調査対策で詳しく解説しています。
経費計上で否認されないための3つの鉄則
鉄則1:領収書・レシートを必ず保管する
経費の証拠は「領収書」です。電子帳簿保存法の対応により、スマホで撮影してクラウド保存する方法も認められています。会計ソフトのレシート撮影機能を使えば、撮影と同時に仕訳まで完了します。
鉄則2:「誰と・何のために」をメモする
特に交際費・会議費は、相手先の名前・人数・目的を領収書の裏やメモアプリに記録しておきましょう。税務調査ではこの情報が確認されます。
鉄則3:家事按分の根拠を数字で説明できるようにする
「なんとなく50%」ではなく、「仕事部屋は全体の30%の面積」「1日8時間のうち6時間は仕事=75%」など、計算根拠を残しておくことが重要です。税務調査で聞かれたときに説明できれば、否認されるリスクは大幅に下がります。
経費の具体的な判断で迷いやすい項目については、以下の記事で詳しく解説しています。
- 交際費の経費計上ライン|否認されない判断基準と記録の残し方
- デスク・チェアは経費になる?10万円の壁と減価償却ルール
- 消耗品費の経費計上ライン|文房具・ガジェットはどこまでOK?
- 家事按分の計算方法|家賃・光熱費・通信費の按分率と税務調査対策
- クレカのポイントを「経費」にするとき知っておくべき税務処理
まとめ:迷ったら「事業に必要か」で判断する
この記事のポイントを整理します。
- 経費にできるかの判断基準は「事業に必要な支出かどうか」の一点
- 私用と兼用のもの(家賃・光熱費・スマホ代等)は家事按分で事業利用分だけ計上
- 所得税・住民税・国保・年金は経費にならない(ただし所得控除の対象にはなる)
- 10万円未満の備品は一括で消耗品費。10〜40万円未満は青色申告なら少額減価償却で一括経費OK(2026年4月以降取得分。3月以前は30万円未満が対象。年間合計300万円まで)
- 領収書の保管・メモ・按分根拠の記録が税務調査対策の基本
今日からできるアクションプラン
- この一覧表をブックマークして、経費の判断に迷ったら参照する
- 家事按分の計算根拠をメモやスプレッドシートに残す
- 会計ソフトのレシート撮影機能を使って、領収書のデジタル保管を始める
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